子どもたちの育ちの中に‘人間関係‘の分野があります。これは子どもたちが日々生活していく中で保護者や、保育者や友達、地域の方々等身近にいる人と接する中で成長が育まれる分野です。
成長するにあたって時には友達と喧嘩をすることもあります。喧嘩になった時の子どもたちへの関わり方についてお話していきます。
子どもの喧嘩の本質を理解しましょう
まず初めに、子どもたちの喧嘩は起きることが悪いということではありません。上記にてお伝えしましたが、子どもたちの喧嘩とは‘成長の一環‘です。
子どもたちが始めて集団生活を行う中で、人とのかかわり方や話し方、分かりやすい伝え方を自然と身に着けていきます。つまり、喧嘩をすることは‘社会性を学ぶ機会‘に繋がっているのです。
喧嘩の原因を見極める
保育者として求められるのは、喧嘩のきっかけを知ることです。
例えば2歳児同士の喧嘩と5歳児同士の喧嘩では、時に声掛けの仕方や喧嘩の原因が異年齢の差によって異なります。
2歳児の場合使っていたおもちゃを友達が黙って取っていってしまった等、自分のやりたいことが中心であり、自分がしようと思ったことができなくて喧嘩が起こることがあります。
5歳児の喧嘩も勿論、玩具の取り合いなどが起きる時もあります。しかし、時には「私の方が○○君より足が速いんだよ!」と言われたことで自尊心が傷ついたり、「○○ちゃんが○○くんのこといやだっていってたよ」と本当かどうかは分からないことを第三者を通して言われて誤解が生じて喧嘩になったり等があります。つまり、喧嘩が起きる原因はさまざまであり、保育者はそれをしっかりと把握したうえで仲介に入ることが重要となってきます。
冷静な仲介をするための基本的なステップ
保育者が子どもたちの喧嘩の仲介に入る時は様々な技術が必要となってきます。
喧嘩を止めるタイミング
喧嘩を起こしたくなくて喧嘩が起きる前に保育者が介入するのは、時として‘子どもたちが成長をする場面を失くしてしまうこと‘に繋がりかねません。もちろん、ケガが生じる場合は喧嘩が起きる前に止めた方がよいです。なぜなら、私たち保育者の仕事は‘子どもたちを保護者の方からお預かりをした姿のまま降園を迎えること‘が大切な仕事の役割だからです。なので、嚙みつき等の外傷が及ぶと予測される場合は喧嘩の前に仲介に入ることが大切です。
しかし、口論などの場合は、保育者はしばらく近くで見守ることも時には必要です。喧嘩の中で自分たちの思いを相手にぶつけて自分の思いを知ってほしい、そのためにはどのように身振り手振りや言葉で相手にどのように伝えたらいいのかを学んでいっているからです。もし、子どもたちが相手に伝わらず、そして双方ともに納得をしていないのにその喧嘩が終わろうとしている場合は、子どもたちの心に寄り添うためにも保育者が話し合いの場を設けることも重要となってきます。
子どもたちと仲直りの方法を一緒に考える
仲直りや話し合いの際に保育者が一方的にこの子が悪い、あの子は悪くない等をいうのはNGです。なぜなら、それも子どもたちが自分たちで考えていくことで身についていくことだからです。正義や悪で喧嘩を終わらすのも違います。これは私が人生の先輩から聞いたことですが、「人の数だけ正義があるんだよ」ということを教えてもらいました。誰も、自分が悪だと思って過ごしている訳ではありません。自分が正しいと考えているから自分と違う考えや行動をする人を悪と考えることに繋がっているんです。
つまり、保育者は子どもたち同士の思いをしっかりと聞いて、言葉で難しいようなら代弁をしながら双方ともに相手の思いを知ることが大切です。
- 「○○ちゃんは○○ちゃんのおもちゃが欲しかったんだね。」
- 「○○ちゃんは○○ちゃんが急におもちゃをとっていったからびっくりして泣いちゃったんだって」……
というように、事実をありのまま言葉で伝えることで相手の思いや自分の行動を振り返るきっかけとなります。
その場では相手の思いよりも自分の思いを優先したい、分かっているけれどもできなかった等の姿が見られることもあります。繰り返し伝えていくことで子どもたちが何年か後に気付いて成長につながるきっかけとなるように丁寧にかかわっていきましょう。
喧嘩から考える環境作り
‘喧嘩をすることは悪いことではない‘とは言ったものの、流石に毎日子どもたち全員がすぐ友達と喧嘩をして過ごしているのは良くないですよね。
喧嘩が起きるのは子どもたち自身の心がネガティブになったり、怒っていたり等の心理的な状態も関わってきます。
子どもたちが安定した気持ちで過ごせるように、子どもたちがほっこりと一人で落ち着いて過ごせるような場を作ってみたり、思いっきり体を動かす時間を作ってみたり、パズルと運動遊びなど‘静‘と‘動‘の遊びをコーナーで区切ってそれぞれが集中して遊べる環境にしたりなど室内環境やクラスの活動時間の使い方などを見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ:喧嘩を成長の機会に変える
保護者の方の中には‘喧嘩‘に対して‘マイナスなイメージを持っている‘方もおおくいらっしゃいます。
しかし、保育者として子どもたちの喧嘩は社会性を身につけるための第一歩の姿であると前向きに捉え、保護者の方への伝達の際も「喧嘩の後にこのような話し合いを設けて、『次は○○してみようか』『◆◆してみてもいいかもしれない』と納得をして喧嘩を終えました」と喧嘩に対して成長が垣間見れた姿や前向きな姿をしっかりと伝えていきましょう。
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